野田地図

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『2001人芝居』

 
今は東大の総長である蓮見重彦氏が、二十年以上も前に「日本のテレヴィジョンの番組ってのは、すべてがタスケテクレとケッコンスルに還元されてしまうんだわ」と書いた。 正確に言えば、これは蓮見氏のフランス人の奥様の発言だが、実に的を得ている。未だに、的に当たりっぱなしだ。

今にあわせて、微妙に言い換えれば「日本のテレビ番組はすべて、ナカセテクレとエッチシタイに還元される」っていうところだろうか。確かに、今のドラマは「泣かせてくれ」と「エッチしたい(結婚したい)」で読みとれるし、ドキュメンタリーやニュースの中にも我々は、ついつい「泣かせてくれ」るものを探す。ワイドショーにいたっては「泣かせてくれ」6割、「(あんた)エッチしたの?」4割。バラエティは、「(笑わせて)泣かせてくれ」7割「(おげれつに)エッチしたい」3割で、出来ている。

四半世紀過ぎても、かようにテレビは変わらない。テレビとはそういうものだ。イヤなら見なければいい。
そう思っていた時期もあった。けれども生憎、テレビのモニターから流れだしてくるモノは無料である。空気のように吸い込んでいる。しかも、何十年もの間。間違いなく我々は、麻痺し始めている。宗教も哲学も苦手になってしまった、我々日本人の頭の中へ、モニターの中から流れ出てくるものが、どんどん入り込んでいる。そこでは、あらゆるものが短絡的に行われる。長い時間をかけたものは嫌がられ、答えのないものは理解されない。だが、そのはみ出し流れ出してくるものを、もはや、我々は拒絶出来ない。

引き受けよう、立ち向かおう。世紀も明けた稽古場で、私は一人そう思った。